ハーバードビジネスレビューよりチームの意欲とパフォーマンスを高めるには、「一緒に」という言葉を口頭で告げるだけでも効果がある――こんな事実が研究で明らかになった。チームの連帯感を強めるためにマネジャーが日々実践できる、簡単で効果的な方法だ。

 人間は非常に社会的な生き物だ。他者とつながっていたい、共同で物事に取り組みたいと望む生来の習性を持っている。実際、群れをつくって生活し働くという本能的欲求がなかったら、私たちは種として生き延びてこられなかっただろう。人の体はそれほど強靭ではなく、恐ろしげでもないからだ。

 社会的であることが人にとっていかに重要かを示す研究は、山のようにある。たとえば、神経科学者マシュー・リーバーマンの著書Social: Why Our Brains are Wired to Connectによれば、私たちの脳は他者との関係にきわめて敏感にできていて、人間関係における成功や失敗を、身体的な快楽や痛みとまったく同じように処理する。だれかに拒絶された時は、頭を殴られて感じる痛みとかなり近い反応が表れる。あまりに近いため、失恋した時にはアスピリンを飲むと実際に楽になるほどだ。

 ニューロリーダーシップ・インスティテュートの創設者であるデイビッド・ロックは、対人関係に影響を及ぼす5大要素の1つに「仲間意識」(relatedness)――信頼や絆、帰属の感覚――を挙げている(残りの4つは「立場」「確実性」「自由裁量」「公平性」)。ロックの研究によれば、従業員は仲間意識の危機や喪失を感じると、パフォーマンスと意欲をほぼ確実に低下させるという。他の研究でも、「一緒に働いている」という感覚があるとモチベーションが高まることがわかっている。特に、関心や喜び、意欲に基づく「内発的モチベーション」という特効薬が生まれ、最高のパフォーマンスを引き出す。

 理論的には、現代の職場には仲間意識があふれているはずだ。狩猟採集で暮らしていた祖先と同じく、ほとんどの人は何らかのチームの一員である。そしてチームとは仲間意識を十二分にもたらすはずの存在だ。

 しかしここに、皮肉な現実がある。私たちはチームの目標を決め、チームでミーティングを行い、チームの業績に基づいて評価される。にもかかわらず、仕事そのものを実際にチームでやる人は非常に少ない。私自身の例でいえば、研究はすべて、他の研究者とチームを組んで進めてはいる。論文や本を共同執筆することも多い。協働する人たちと定期的に会い、話し合ったり計画を立てたりする。しかし、データの分析を研究者と並んで座り一緒にやるということは、けっしてない。被験者を使った実験を、他の研究者と並んで一緒にやることもないし、共著者と同じ部屋で文章を入力したこともない。

 目標やプロジェクトの多くは、たしかにチーム単位で取り組まれている。しかし先史時代の人類が群れをつくり、一致団結してマンモスを倒したのとは異なり、現代人の仕事のほとんどは「独り」でするものだ。

 つまり、これがチームの奇妙な点である。チームは職場に絆と帰属感をもたらしてくれる最大の源泉になりうるはずだ。しかし同時に、チームでの仕事は私たちが従事する最も孤独な作業の1つになっているのだ。

 したがって必要なのは、実際には共同で作業していなくても、1つのチームとして働いているという「感覚」を従業員に持ってもらうことだ。スタンフォード大学のプリヤンカ・カーとグレッグ・ウォルトンの最近の研究のおかげで、これを実現する効果的な方法が明らかになった。「一緒に」(together)とただ言うだけでいいのである。

 カーとウォルトンの実験では、被験者を最初に少人数のグループとして集め、その後各メンバーを別々の部屋に隔離して難しいパズル問題を単独で解いてもらった(英語論文)。この実験では2種類のグループを設け比較した。1つは「心理的に一緒」のグループで、被験者たちには次のことを告げた。たとえ別々の部屋に分かれて取り組んでいても、これは「チームが“一緒に”やるタスク」であること。そして「チームがパズルを解きやすくなるように、後ほどメンバー宛てにヒントを書いたり、メンバーからヒントを受け取ったりできる」こと。

 これとは別に、「心理的に孤立」したグループも設けた。この被験者たちには「“一緒に”やるタスク」であるとは告げない。そしてヒントの授受は、他のメンバーとではなく各自と研究者との間でやり取りされると告げた。どちらのグループの被験者も、実際にパズルを解くのは単独作業であることに変わりはない。唯一の違いは、「一緒に」という指示が喚起しうる感覚だけである。

 この些細な操作は、実に大きな効果を生み出した。「心理的に一緒」の被験者は、「孤立」のグループよりも作業時間が48%も長く、正解数も多く、作業内容を詳しく思い出すことができた。そして作業による疲れや消耗も少ないと述べた。さらに、パズルが共同作業だと認識することでより面白く感じられたという。彼らをより長い時間作業に取り組ませたのは、チームへの「義務感」という外発的モチベーションではなく、「面白い」という内発的モチベーションだった。

「一緒に」という言葉は、他者との関わりを脳に認識させる強力な合図となる。どうやらこの言葉自体が、仲間意識を感じさせる報酬のように作用するようだ。つまり帰属や絆の感覚をもたらし、共通の目標に取り組む信頼できる人たちの存在を感じさせるのだ。

 経営幹部やマネジャーは、この言葉をもっと頻繁に使うといい。さもなければ、コミュニケーションの機会をみすみす逃すことになる――冗談ではなく、私はそう考える。「一緒に」を合言葉にすることで、部下に独りではないと感じさせれば、モチベーションを高め最高のパフォーマンスを引き出しやすくなるだろう。

ハーバードビジネスレビューより HBR.ORG原文:Managers Can Motivate Employees with One Word August 13, 2014

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感謝祭当日はお店もオープンせずひっそりと静まりかえるアメリカ

 この原稿は、米国などの地域で盛んな「感謝祭」(Thanksgiving)に前後して書いています。今年は11月27日(木)が感謝祭当日。そして日曜日までの4日間が連休となります。特に感謝祭当日はスーパーやレストランなどを含めて、街の商店はほとんどが休みで、ひっそりと静まり返ります。

 しかし、そのひっそりとした感謝祭の最中も、米国社会では怒りの行動が繰り広げられています。白人警察官が黒人の少年を誤って射殺した米ミズーリ州ファーガソンの事件で、警察官に不起訴の決定が下ったことをきっかけに抗議デモが全米で展開されました。 筆者の住むバークレーの隣町、オークランドでもデモが激化し、商店のガラスが壊されるなどの大きな騒ぎとなりました。

 26日は終日スーパーマーケットは大混雑で、感謝祭に向けての買い出しになるのです。七面鳥のローストをはじめとして、終日料理をしながら、家族で飲んだり食べたりする恒例行事。ただ、七面鳥はデカすぎて、我が家のオーブンには収まりきらないこと、味も含め、個人的にはチキンのローストの方が良いです。

 その感謝祭の翌日、金曜日がよく言われる“ブラックフライデー”。店舗は0時、または早朝から開店し、年に1度の在庫一掃セールが始まります。あらゆるジャンルのショップがセールをしますが、やはり電化製品のセールには注目が集まります。昨年は55インチのHDテレビが100ドルという価格だった例もあり、そんなに在庫を抱えて困っていたのかと余計な心配をしたくなるほどでした。

 ただ、こうした破格の商品を店舗で手に入れるためには、おそらく感謝祭の日の夕方から並ぶ必要があり、朝になって出かけていっても、お店の中は空っぽに近いような状態になっていることでしょう。だとしたら、七面鳥を食べながら暖かく過ごしていてもよいんじゃないかと思うわけです。

ブラックフライデーの変化とオンライン化

 今年は前述のデモの影響もあって、ちょっと店舗から足が遠のいたように感じていますが、原因はほかにありました。

 IBMが毎年リアルタイムの売り上げデータを解析して発表している分析によると、今年のブラックフライデーは「ブラックノーベンバー(Black November」ともいうべき状況になっていて、感謝祭翌日の1日集中型というよりは、それ以前の11月からセールを行なっているところが増えてきているそうです。

 その原因とも言えるのがオンラインの伸び。2014年のオンラインセールスは昨年よりも14%伸び、華やかなセールイベントを展開するデパートでは、オンラインが24.3%も伸びたそうです。

 前述したとおり、Eコマースなら七面鳥を食べながらショッピングが出来るわけで、小売店としては、感謝祭前からセールを展開して、都合がいいときにセール品を買ってもらう方が売上を伸ばせると判断したのではないでしょうか。インターネットが米国で長年続いてきたカルチャーを変化させようとしている瞬間に立ち会っているような感覚です。

 またIBMは、Eコマースサイトへのトラフィックが、今年初めて50%を超え、52.11%になったと発表しています。ただし、売上額は32.33%にとどまっており、オンラインでの勾配の客単価が2.45%低下しているとも言います。まだまだスマホでは、高額商品を買うという感覚にはなっていないようです。

 アクセスしてくるモバイルデバイスは、iOSが圧勝、というデータも面白い比較です。iOSとAndroidを比較すると、サイトへのトラフィックは倍以上、売り上げに占める割合は4倍近くと、iPhone/iPadユーザーの方がよりたくさんの買い物をしていることがわかりました。

今年のベストディールはやはりApple?iTunesカードのオマケで実質的な値引き

 さて、例年注目される電気製品。その中でも、普段特に価格が変動しない製品の値引きに注目が集まります。その筆頭が、Apple製品です。iPhoneも、iPadも、Macも、Apple Storeだろうがオンラインだろうが、他の販売店であろうが、普段は基本的に同じ値段で販売されています。

 だからこそ、ブラックフライデーでApple Storeを含む各店舗が用意する割引や特典で、爆発的な売上を狙うことができるようです。Appleがかたくなに値引きしないのは、もちろんブランドのためでもありますが、こうした米国の消費の習慣やイベントにも関係していると言えるでしょう。

 さて、そのApple製品ですが、2013年はApple Storeでは製品そのものの値引きはせず、Apple StoreやiTunes Storeで利用できるギフトカードを付けました。今年は、Macには100ドル、iPhone/iPadには50ドル、iPod touchなどには25ドルのギフトカードが贈られます。

 現在Appleは、ホリデーシーズンに向けて、エイズ撲滅に向けた活動(RED)をサポートするキャンペーンを行っています。11月28日に贈られるギフトカードは、(RED)仕様になっているほか、iPhoneやiPad向けのApp Storeでも、(RED)キャンペーンを展開しており、賛同するアプリはアイコンを赤くし、アプリ内購入の売り上げを寄付するなどの、新しい「デジタルでの活動」を実現しています。

 Apple Store以外のBest BuyやStapleといった小売店では、100ドル程度のそのショップで利用できるギフトカードがプレゼントされるというパターンが多いように見受けられます。小売り大手のTargetでは、499ドルのiPad Air 2(16GB Wi-Fiモデル)に140ドルのギフトカードがつけられ、最もお得にiPadを手に入れられそうです。

 いずれにしても、値引きで手に入れられるまたとないチャンスなので、発売直後に購入を控えていた人たちが待ち構えていたに違いありません。

4Kテレビも気になるが…

 Appleファミリーの仲間入りをしたBeatsのヘッドフォンも、Apple製品と並んで、値引きがアピールされることが増えました。例えば、Apple StoreではBeats製品に25ドルのギフトカードがつけられたほか、前述のTargetでは、Beats by Dre Solo HD headphonesが73ドル引きの93ドルになるなど、Apple製品とともにアピールしている様子が目立ちました。

 ブラックフライデーで最も関心を集めるもう一つの製品がテレビ。感謝祭からクリスマスのシーズンが開けると、新しい映画やドラマの新シーズン、そしてアメリカンフットボールの最終戦スーパーボウルなど、家でテレビで楽しむイベントが目白押しです。

 米国では、韓国メーカーから台湾や中国のメーカーへと格安ブランドがバトンタッチをしつつあり、フルHDの大型パネルの価格も、普段テレビの値段を物色すらしていなかった筆者が驚くほどに値下がりしていました。

 例えば、55インチでフルHDのテレビは395ドル、Samsungの55インチフルHD・120Hz駆動のLEDテレビで600ドルという価格がつけられています。性能に目をつむれば、50インチ以上で200ドル台のものもあり、3年前に購入した32インチのテレビしかない我が家も、思い切りサイズアップを目論みたくなる価格です。

 ただ、4Kとなると、あまりこなれた価格のものはありません。東芝の55インチで2500ドル、VIZIOの55インチの4Kテレビは1300ドル。同じサイズでもフルHDと比較するとまだ2倍以上の値段になっています。コンテンツもさほど揃っていないし(あっても高価)、もう数年はフルHDの大型パネルで十分楽しめる環境が続いていきそうです。

 ちなみに米国では、テレビへの主たる映像ソースはケーブルテレビですが、大手のComcastはX1プラットホームという新世代のセットトップボックスで、4K映像の配信に取り組んでいます。また、4Kテレビにはストリーミングでの受像機能を搭載しており、ケーブルからの乗換も進むストリーミングサービスNetflixが4K映像を、セットトップボックスなしで見ることができます。

 筆者はドラマのラインアップなどの関係で、Hulu Plusを、1世代前のApple TVで利用しています。手持ちのApple TVは720pまでの対応ですが、現在Hulu Plusも720pまでの対応なので不都合はありません。

 たとえばApple TVがiPhone 6に搭載されているA8プロセッサを搭載すると4K映像の再生に対応すると思われるため、ネット経由の4K映像の手段が増えていきそうです。米国に引っ越してくる時点で、CD、DVD、Blu-rayなどの光学ディスクの再生装置を揃えずに3年過ごしているのですが、せっかくなので、このままディスクなしの生活で行こうかと思います。もっとも4K時代になると、そもそもネット回線が15~20Mbps程度なので、ストリーミングに耐えられるとは到底思えないのですが…。

基本的には、欲しいものを

 ガジェット系では、カメラなど、ブラックフライデー向けのセールは多岐に渡ります。これだけ様々なものが安くなると、消費が一気に爆発するのも頷けます。同時に、ブラックフライデーには何が、どれくらいの価格で売られるか、という“感覚”も備わっているのかなと思いました。

 カメラのコーナーで意外と人気があるのが、Nikon 1シリーズ。そこまで格安になっているわけではないのですが、他の一眼レフやデジタルカメラ以上に価格を競っているような印象を受けます。

 一方で、洗濯機や冷蔵庫、エアコンといった白物家電は、アパートに備え付けとなっている場所が多いためか、ブラックフライデーのセールの中心にはありません。こちらでは白物家電は、ガジェットやホームエレクトロニクスではなく「アプライアンス(appliance)」というカテゴリーに属しており、滅多に購入したり買い換えたりするものではないということでしょうか。

 これだけ様々なオファーがあると、アレも、これも、と目移りしてしまいます。しかしながら、基本的には、必要なものを買う、というスタンスを貫かなければ、お金がいくらあっても足りなくなってしまいますね。でも、カメラは新調したいと思って、色々検討しているところです。

http://ascii.jp/elem/000/000/957/957216/

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Webでサービスを運営する上で、最初から成功を収めることは大変難しいことです。 時には、顧客の要望に耳を傾け、時代の先を読み、大胆な方向転換を図る必要があります。

そして、Facebook、Twitter、YouTubeなど、今や生活の一部と言っても過言ではないこれらのサイトも、初期の頃はまったく違うサービスだったことをご存知でしょうか。

今回は、今や大人気となったサービスの初期の頃、そしてどうやって人気サービスになっていったかをご紹介します。

Facebook=女の子比較サイト

これは映画にもなったため、ご存じの方も多いでしょう。 マーク・ザッカーバーグは、女性にフラれた腹いせのため、ハーバード大学のサイトから女生徒の写真をハッキングし、2人の写真を表示して「どちらがカワイイか?」を投票させるサイトを(一晩で)作りました。 これは「facemash」というサービス名でしたが、一部がのちの「Facebook」につながったと言われています。

YouTube=出会い系サイト

今や動画サービスの代名詞的存在となった「YouTube」ですが、最初はなんと出会い系サイトでした。 ユーザーは自分の魅力やアピールポイントを動画で投稿し、気に入った相手を探すサービスだったのです。

しかし、ユーザーは徐々に自分の好きな動画を勝手に投稿し始めます。

そして、2004年に起こったスマトラ沖地震と津波、及びスーパー・ボウルのハーフタイムショーに行われた、ジャネット・ジャクソンの例の動画が爆発的に共有され、運営チームは、これを動画共有サイトにしようと決心したのです。

Instagram=位置共有サービス

日本でも特に女性に人気があり、芸能人なども多くアカウントを解説しているInstagram。

これも、元は「Burbn」という名前の別アプリで、位置情報を共有するためのサービスでした。 しかし、ユーザーは位置よりも「写真」の共有をしたがる事がわかり、彼らは他のさまざまな機能をあえて外し、写真がよりキレイに見えること、モバイルで簡単にアップロードできることなどに注力し、アプリを作り替えます。

彼らは「写真も共有できる、位置共有サービス」から、「位置も共有できる、写真共有サービス」という転換を図ったのです。 機能的にはむしろダウングレードしたとも言えますが、マーケティングメッセージによって大成功を収めた典型的な例ではないでしょうか。

Twitter

もはや世界共通語ともなった、Twitter。 元々は「Odeo」というPodcast検索サービスを作っていました。

同種のサービスがなかった当時においてOdeoは順調に事業を拡大していましたが、ある時、AppleのiTunesにほぼ同じ機能が搭載されてしまいます。

お役御免となり窮地に立たされたOdeoの社員一同は緊急会議を開き、一日中ぶっ続けで「新規事業アイデア」を討論し続け、今のTwitterを作ることを決定したのです。

正確にはTwitterとOdeoは全く違うサービスではありますが、iTunesの機能変更がなかったらTwitterは生まれていなかった? と考えると面白いですよね。

すべてに共通して言えることは、「自分たちがどんなサービスを作りたいか」よりも、「ユーザーがどんなサービスを求めているのか」に重きを置き、柔軟に対応したことです。 サービス開発を行ったことがある方ならお分かりかと思いますが、これはそう簡単にできることではありません。

Webでサービスを運営する上で、試行錯誤を重ねることの重要さがよくわかりますね。

http://blog.marketing.itmedia.co.jp/brigate7/entry/689.html

筆者:渡邊徹則 http://ver7.jp/

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a180eab31b43c817f034c024f4f754971939年11月30日、ソ連軍は45万の兵士と戦車2500台でフィンランド国境に殺到した。  迎えるフィンランドの兵力は、全国に散らばって展開していた16万の兵とわずか32台の戦車。  絶望的ともいえる圧倒的な敵に、フィンランド軍は雪中のゲリラ戦で臨んだ。  気温は零下40度の極寒、高緯度のため、夜が18時間もある闇の中での戦いだった。  フィンランドの兵士は真っ白な軍服で雪の中に身を隠し、スキーを自在に手繰ってソ連軍の何倍もの早さで移動し、雪中で目立つ軍服を着て、雪と闇に立ち往生している敵兵士を叩いた。  力と数にまかせて森林を行軍するソ連軍は、白い服で待ち伏せするフィンランド兵の餌食となり、補給も思うにまかせず、凍死者も多数でるなど、目をおおうばかりの惨状となった。  翌年、フィンランドは過酷な条件の講和を結ぶことになったが、独立を守りぬいた。  フィンランド側の戦死者は2万7千、ソ連側の戦死者は20万人以上、100万人とするものもある。  この戦いは、「雪中の奇跡」と呼ばれている。*1

 この「雪中の奇跡」を可能にしたのは、フィンランドの人たちの心に『Sisu』があったのだという。  『Sisu』というフィンランド語はいったい何をさすのだろうか?

 この戦いのことと、フィンランド語の『Sisu』について、知ったのはおなじみのJames Clear氏*2の最新のブログ記事でである。

 Sisu: How to Develop Mental Toughness in the Face of Adversity 

(逆境に直面したときに、いかにメンタルタフネスをのばすか)

 Clear氏は、フィンランドのある研究者による定義をこのように紹介している。

『Sisu』とは、顕著な逆境や難しいチャレンジに対しても、諦めずに行動をおこすという考え方です。できるかできないかということよりも、勇気と決意をもってチャレンジすることについて述べた言葉です。『Sisu』は行動するかどうか躊躇しているときに、最後の決断に力を与えてくれるものです。 

 『Sisu』は日本語で言うと、粘り強さと決して妥協しない頑強さ、不屈の精神を意味しているように思える。  英語には『Grit』という言葉もあって、それも『Sisu』とよく似た意味のように思えるが、Clear氏によると『Sisu』にはさらに深い意味があるのだという。

それは、どんなことが起きようと、決して折れない強い意志と忍耐で、あなたの責任を耐えぬくことができるような、精神の屈強さのことだ。それは著しい劣勢にあっても行動と戦いを続けることができる能力のことだ。『Sisu』は「忍耐」より先にあるものだ。それは、あなたがもう何も残されていないと思った時に、最後に頼ることのできるものだ。  Clearさんのこの説明はとてもわかりやすかった。  そして、英語に『Sisu』という言葉の正確な翻訳語がないように、日本語にも『Sisu』に正確に対応する言葉はなく、この言葉には、なにがしかのエネルギーを与えてくれるなと思った。

 圧倒的な逆境に対して、諦めずに行動する意志。  そして、その時に発現する、力強さ、粘り強さ、創意工夫、何度もの失敗をももろともしない反発力。

 さて、僕は、この『Sisu』は、フィンランドの人たちだけでなく、誰の心の底にも眠っているものだと思う。普段それは眠っているが、「これを失ったら自分には何も残らない」と追いつめられた時、自分が一番大事にしているものや、愛しているものを失いそうになった時、『Sisu』が心の殻を破って出てくるのだと。  それがいかに絶望的に不利な戦いであったとしても、結果がどうなろうと、それに対して、立ち上がらざるをえないのだ。『Sisu』がそれを強いるのである。  『Sisu』は、誰の心にも、その根っこの部分に眠っている。

 たとえば、僕は42才であてなく会社を飛び出して、徒手空拳で商売を始めたのだが、なぜそうしたのかという説明をするには、いつも、すこし長い説明が必要になる。  だけど、この新しく知った言葉を使えば、簡単にこう言えてしまうのだ。

 つまり、僕は『Sisu』に突き動かされていたのです、と。

photo from The Library of Congress

*1:Clearさんと同じく、Wikiの冬戦争の日・英のページを参照しました。数についてはばらつきはあるようです

*2:僕の大好きなアメリカの起業家、ウエイトリフター、トラベル写真家、ブロガー、著者→プロフィール

(2014年10月24日「ICHIROYAのブログ」より転載)

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ハーバードビジネスレビューよりイノベーションに対する取り組みは、一見着々と進んでいるように見えても、実際に訴求力のある製品・サービスを生み出し事業として軌道に乗せるまでの間には、さまざまな落とし穴がある。以下の「8つの問い」は、事業化への道を見失わないための強力な味方となるはずだ。

 私がまだマッキンゼー・アンド・カンパニーで駆け出しの新人だった頃に、プロジェクトマネジャーだったリンダ・ブッシュから受けたアドバイスはいまでも心に残っている。「たくさんの質問をしなさい。迷惑をかけると思うかもしれないけど、何かを学ぶには質問するしかないわよ」

 よい問いかけに勝るものはない。ブッシュの忠告を胸に、当時の私は技術的な知識(エクセルのピボットテーブルを使いこなす方法)、企業社会でのありふれた現象(不可解な経費明細書)、職業上の細かいニュアンス(「あの発言にはどういう意図があったのですか?」)などについて学んでいった。実際、ハル・グレガーセンとジェフリー・ダイアーの研究によれば、成功するイノベーターに共通する行動として、質問を投げかけることが挙げられている(本誌2010年4月号「イノベーターのDNA」で詳述)。

 そこで、私も皆さんに問いかけたい。イノベーションの成功確率を高めるには、どんな問いが必要だろうか? すでに有名なフレーズがいくつかある。ピーター・ドラッカーの問いは「現在の方法を用いていなかったとして、白紙から始めるとしたら同じ方法を取るだろうか?」。セオドア・レビットの不朽の名言もある。「実際のところ、我々は何の事業を行なっているのだろうか?」。そしてアンディ・グローブは、インテルを変革するためにゴードン・ムーアにこう問いかけた。「もしも取締役会が我々を追い出して、新しいCEOを連れてきたとしたら、その人はまず何をすると思う?」(ムーアの返事は「メモリー事業をやめるだろうね」)

 こうした名言に加えて、ここで掲げる8つの問いを検討してほしい。新たな成長機会を見つけ、破壊的変化の脅威を特定し、訴求力のある製品やサービスを生み出し、事業アイデアを結実させる――イノベーションにおけるこれら一連のプロセスを明確にするうえで、以下の問いが役立つはずだ。

新たな成長機会を見つけるための問い

1. 顧客が解決に苦労している問題は何だろうか?  スティーブ・ジョブズの有名な言葉がある。「顧客が望むものを明らかにするのは、顧客の仕事ではない」。その通り、それはイノベーターの仕事である。だれかが時間や費用をかけて重要な問題を解決しようとしていて、既存のソリューションに言葉や行動で不満を表明している場合、それはまたとないイノベーションの機会である。

2. 既存のソリューションを利用するためのスキルや資金、アクセスが欠如しているために、市場から締め出されている顧客はだれか?  これまで実証されてきた破壊的な成長の方法は、既存の市場で競合企業と激しく競争するのではなく、上記の問いのように我々が「無消費(nonconsumption)」と呼んでいる状況をめぐって競争することである。人々が長年苦労してきた物事を、より単純または便利、あるいは安価な方法で提供することが成長への最善の道である。既存の市場から締め出されていた人々に対してそれを行うことで、イーベイ、グーグル、サウスウエスト航空は今日の地位を築いた。

破壊的変化の脅威を特定するための問い

3. 利用者があまり重視せず支払いも望まないような過剰な機能を、自社は提供しているだろうか?  破壊的イノベーション理論の重要な教えに、「顧客ニーズの変化よりも、企業側のイノベーションのほうが速く進んでしまう」というのがある。人はだれしもよりよい製品を好むが、もしも顧客に使いこなせない、または割高であると感じさせる高度な機能やサービスがあるならば、よりシンプルで低価格のものを提供するチャンスを他社に与えてしまう。

4. もし自社に対して破壊的変化をみずから仕掛けるとしたら、何をするだろうか?  破壊的イノベーションの理論が世に出て20年近く経つが、いまもなお、破壊的変化に足をすくわれる企業があまりにも多い。特にまずいのは、破壊者が目の前にいるのに、市場リーダーはその存在や影響を軽視しがちである点だ。ブロックバスターのCEOは2008年になってもこんな発言をしている。「正直に言うと、みんながネットフリックスに夢中になる理由が私にはよくわからない。わが社がこれまでに提供していなかったり、提供できないようなサービスは、同社には何ひとつないはずだ」。自社を破壊するのは何かという単純な問いとともに、破壊的なビジネスモデルを進めている企業がいないかどうか探してみよう。それが破壊的変化の脅威に対する最低限の防御となるだろう。

訴求力のある製品やサービスを生み出すための問い

5. 自社が取り組もうとしている問題を、すでに解決した企業はないだろうか?  このような問いはアイデアの放棄を促すのではないかと思われるかもしれないが、実際にはその反対である。多くのイノベーターは、取り組みが独創的で難易度が高いというだけで評価されると考えているが、それは誤りだ。もちろん、イノベーションとは他と違うユニークな行為だが、それは顧客と自社に価値を創造するという点においてである。そして必要なのは、価値創造の最短距離を見つけることだ。スペインの偉大な芸術家、パブロ・ピカソの助言に従おう。「優れた芸術家は模倣するが、偉大な芸術家は盗む」。自社が取り組もうとしている課題は、他のだれかが別の状況ですでに解決している可能性が高い。別の業界、国、企業から示唆が得られるかもしれない。それを見つけて自社の問題解決の参考にできれば、イノベーションのスピードは劇的に向上する。

6. 世界中のほとんどの企業が成しえない何かを、自社は実現できるだろうか?  大企業がベンチャー企業のすさまじい速さに伍して市場でイノベーションを起こしていくことは、ますます困難になっている。そして速さだけでは不十分である。企業は、ブランドの信頼性、独自の流通チャネル、独占的な技術などを活用して、「速さ」よりも「巧さ」で勝負しなければならない。自社独自のケイパビリティに焦点を合わせれば、圧倒的な競争力を持つ製品やサービスを生み出す可能性は高まる。

事業アイデアを結実させるための問い

7. 仮説がどう失敗すれば戦略自体が崩れてしまうかを、想定しているだろうか?  どんなアイデアにも、正しいところと間違っているところがある。優れた事業コンセプトであっても、イノベーターがその誤った部分に気づかず素早く修正できなければ、市場への投入に至らず終わる。時間を短縮するべく、優秀なイノベーターは科学的な手法を用いる。仮説を検証するために、アイデアの最も不確実な部分を明確にして、実験を厳密に設計・実行するのだ。そして優秀な科学者と同じように、予想通りの結果と予期せぬ結果を同じように詳しく検証する。

8. どうすれば、より簡単かつ効率的に学ぶことができるだろうか?  実験を複雑で費用がかかるものにする必要はない。専門家に電話1本かければ、事業運営上の重要な仮説について何かが明らかになるかもしれない。アイデアを大雑把な形にした模型を顧客に見せれば、どの程度関心を持ってもらえそうかわかるだろう。資源を有効活用し、シンプルな方法で学ぼうとする努力が、ローンチにこぎ着けるか、その前に資金が枯渇してしまうかの分かれ道となる。

「無理に何かをしようとするな。ただそこに立っていろ」という格言がある。たとえば若い医学生に、ひとまず何もしないのが最善となる場合もあると教える時などに使われる言葉だ。症状の根本原因が明らかになる前に慌てて処置すると、かえって事態を悪化させることがある。イノベーションは積極的に追求すべきものであるのは間違いない。ただし同時に、ここに掲げた8つの問いをじっくりと考えてみてほしい。それによって取り組みの焦点が定まり、成功確率がぐっと高まるはずだ。

HBR.ORG原文:Eight Essential Questions for Every Corporate Innovator January 31, 2014

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yahoo newsITの世界でも、アントレプレナーシップを存分に発揮して新しいビジネスを切り拓いてきた人がいる。今回は、ULSグループ・ウルシステムズ代表、漆原茂氏よりその精神を学ぶため、インタビューを行った。同氏が代表を務めるULSグループ・ウルシステムズは、“戦略的ITコンサルティング会社”として話題となっており、その成功の秘訣を聞いてみた。 どの企業でもIT技術や、ビジネスアイデアを具現化させる新システムが求められる時代となってきた。そのような環境下で、システムやプロジェクト推進に必要な人材を提供し、企業に利益をもたらす“戦略的ITのコンサルティング会社”として注目されるのが『ウルシステムズ』だ。 代表の漆原氏は、大手電気メーカーでコンピュータソフトウェアの開発、スタンフォード大学でシステムの研究に従事した後、2000年に同社を起業。わずか6年でジャスダック上場を果たすという快挙を成し遂げた。

国内のITプロジェクトの成功率はたったの31.1%と言われており、日本に5000者委上あるIT企業の多くが成功しているとは言えないなか、ウルシステムズの経常利益は右肩上がりで、クライアントのリピート率は80%と高い評価を得ている。その成功の要因は日本のIT企業にありがちな多重請負、労働集約型の業務と一線を画す、“少人数精鋭の効率的で高品質、スピーディなビジネス展開”にあった。 IT事業における、日本と米国の違い 日本のSI(システム開発)産業の多くが多重請負+労働集約型のビジネスを展開している。労働集約型になるのは少しのパッケージの違いなどにこだわり、膨大なカスタマイズ作業をつくるからだ。また、自社の人材による作業ではなく外注に頼ることが多いため、膨大な費用がかかる上にスピードが遅く非効率的でもある。ビジネスニーズに追従して成功するにはどうしても素早く作る必要があるので、スピードの遅さが、多くのIT企業が成功できない大きな要因となっている。 対して、米国はITへのアプローチが非常にドライで効率的だという。「自分たちの武器(SI技術)は自分たちで作る」という考えなので、外部エンジニアに外注する日本と違って、優秀な人材を自社で雇い、自社のニーズに合わせたシステムを開発するという考えが普通だ。そのため、一つのプロジェクトが終わったら辞めてもらうことも少なくない。人材の流動性が高く、腕のいい技術者にとっては面白そうな企業、プロジェクトを選んでどんどん渡り歩いていける好環境であるともいえる。

評価される、IT産業創出を目指して 技術屋(エンジニア)は辛い割にリターンが少なく、希望がもてない職種だと思われがちだが、そんなことはないと漆原氏は言う。シリコンバレーでエンジニアは非常に評価されている職種であり、いつの時代も革新は技術屋が起こすものと考えられている。日本でエンジニアが評価されづらいのは、売り上げやリスクヘッジを優先するあまり、非効率的な労働集約型の働き方をするからではないかと氏は述べている。 そういったビジネスの在り方に疑問を感じ「顧客満足を優先して、どんどんイノベーションを起こす“知識集約型”の企業を興せば絶対に成功する」と考えて漆原氏が始めたのがウルシステムズだ。

もともと大手企業に勤めていた同氏は、大手企業の素晴らしさも理解していたが、自分が面白いと思う仕事を意のままに行うことはできないというもどかしさも感じていた。会社を立ち上げる前から、先端テクノロジーで面白い仕事ができるし、そこにニーズ(市場)があるのも分かっていたという漆原氏は、勝算が見えているこの世界の飛び込み自由にやりたいという思いで事業をスタートさせた。

ウルシステムズは、下請けに業務を投げてしまうなど質の低い仕事はしない。従来の日本のように技術の低いスタッフをたくさん使うのではなく、精鋭のスタッフだけで質の高い仕事を提供するという考えのもと、案件の大きさに関わらず1プロジェクトを3~5人でまわしているという。また、外注業者ではなく、発注元の人間であるというビジネスポジションを常に意識している。少人数精鋭でクオリティの高い仕事をスピーディに行う、発注側に特化した専門業者という立ち位置で働いているため、他社とコンペになることもない。 ハイブリッド人材を育成 ウルシステムズは基本的技術にプラスでの何らかの能力をもつ“ハイブリッド人材”の育成を重視しているため、ITスキルはもちろんコンサルティングやビジネススキルも持つスタッフがたくさん活躍している。 技術を勉強し、そこからビジネスやコンサルティングを学ぶことが、一番人材が伸びるパターンだと漆原氏は言っており、そのような人材を育てる独自のナレッジを提供する『ULBOK』も手がけている。

「ウルシステムズスタッフはITのスペシャリストです。先端技術やイノベーションが大好きで、イノベーティブな仕事に必要な先端技術を自分のものにして、どんどん開発していこうという考えです。」と語る漆原氏は、そういったスタッフと戦略的ITシステム設計はもちろん、ビッグデータのリアルタイム処理など、クライアントの要望を叶える様々なツールを開発してきた。例えば、その1つにANAの国内線の予約システムだ。このたった1つのシステムの導入で、ANAは国内線の売り上げの50%以上、金額にすると4000~4500億円という売り上げをたたき出したという。さらに驚くことに、このシステムはたった3人の社員がメインとなって作ったのだという。クライアントのビジネスの根幹にかかわると、このくらい大規模な成果をあげられるという事例の一つだ。これがエンタープライズIT屋の仕事だと漆原氏は言う。

同氏は、2008年から顧客と一緒にビジネスを作り上げていくモデルに投資することをはじめ、公共向けコンサル会社「ピースミール・テクノロジー(株)」を設立した。知恵に投資することで最終的なITコストが下がると考える顧客は確実に増えている。

成功の要因 業績が伸びたのは、1にも2にも人材の力だと漆原氏は言う。集まった人材が成長し続け非常に価値の高い仕事ができているため、今では対応しきれないくらいのオーダーが入ってくるようになった。市場は5000億円ほどと、かなり大きく見ているが、その規模に対しては現状だと人材が足りていないので、今後も精鋭を育てていくことが課題だと漆原氏は語る。 また、技術をリーチしてリードする存在でいることも意識しているそうだ。技術を常にブラッシュアップし続けるのは当たり前だが、その進化のスピードについていくことが最も重要でビジネスの面白みでもあると言う。

少数精鋭のスタッフによる戦略的ITの提供で成功をおさめた漆原氏の座右の銘は「テクノロジーが未来社会をつくる」という言葉だそうだ。技術屋が未来に対して強い想いを抱き、自由に仕事をすることが世の中を進歩させると漆原氏は信じている。

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ハーバードビジネスレビューより経営者は拘束時間が長いから、仕事が大変なわけではない  40歳を超えると、仕事の能力として「体力」が非常に重要だと実感します。頭の良さや、人柄・経験など置いておいて、とにかく体力のある人が仕事ではなにより求められます。

 私が編集長に就任した際、尊敬する経営者の方に、心構えをアドバイスしてくださいとお願いしました。かえって来た言葉は「健康に気をつけることです」と、あまりにシンプルなもので椅子から滑り落ちそうになりました。しかし時間がたつと、仕事において健康の大切さ、つまりは自分のコンディションを保つ重要さは日増しに痛感しています。

 体力のある人は、長時間労働に耐えられます。それだけではなく、疲れている状況でも正しい意思決定を下せるでしょうし、どんな時も人に丁寧に接することができます。いつ重要な意思決定を迫られるかわからない。そんな時に疲れていては、質の高い仕事ができなくて当然でしょう。仕事を先延ばしすることも同様です。

 では、この場合の体力とは何を指すのでしょうか。風邪を引きにくい強靱な肉体もそこには入るのでしょうが、それだけでは説明がつきません。また仕事の疲れも説明しにくいものです。仕事をしていると筋肉は使っていないのに、夜「疲れた」と思うことがあります。ストレスなのかプレッシャーなのか、自覚しにくいだけ「疲れの成分」は見えにくいです。

 以前、社長になったばかりの方に「経営者になって何が一番大変ですか」と聞いたところ、「会議」と答えらえました。会議の回数が増えたことより、会議の中身だそうです。「どの会議も、私が真ん中に座り、すべての議題を理解して、納得して、意思決定しないといけない。すべての会議でその役割を担うんです」とのこと。確かに、出席していればいい会議とは雲泥の差です。

 経営者は忙しいと言います。その意味は長時間拘束されるという「量」の問題ではなく、むしろ仕事の「質」の問題です。仕事の密度が濃い。時間の密度が濃い。つまり質的な意味で、ハードワークを強いられるのが経営者なのです。

お酒を飲んだら解消できるなら、ストレスとは言えない  最新号は、このような問題意識をもってつくりました。結果を出し続けている人のエネルギーの源泉を探ろうという試みです。

 特集では日本電産社長の永守重信さんにインタビューさせていただきました。永守さんは、元旦以外、仕事を休まないことで有名です。趣味と言えるものもなくひたすら働いて、自ら起業した会社を世界的な企業へと育て、いまなお企業の成長に貪欲です。なぜこれほど長期にわたってハードワークをこなすことができるのか。仕事の疲れはどのように解消されているのか。ストレスについて伺ったところ、「お酒を飲んだら解消できる程度のストレスは、仕事のストレスとは言えない」とおっしゃいました。そこでインタビューのタイトルは「仕事のストレスは、仕事で癒す」と付けました。

 永守さんのお話しを伺っていると、仕事に夢中になれるのが羨ましく、また眩しく感じます。当初抱いていた、「なぜこの人は仕事に飽きないのだろう」という疑問はあっさり解消されました。創業から40年あまりで世界的な企業を築いてきた永守さん。その間、起業家、ベンチャー経営者、零細企業経営者、中小企業の経営者、上場企業の経営者、世界的企業の経営者とその役割を刻々と変えていったのです。飽きるはずはないでしょう。仕事で成果を出すことで、自らの役割が刻々と変わっていく、だから飽きない。いまなお、企業の成長を目指しておられるから、仕事が楽しくて仕方ないのも当然です。ご自身の仕事の質も、年々高まったいるとおっしゃいます。

 永守さんのお話しを伺って、能動的なハードワークの意味を理解できました。それは、成長につながる密度の濃い働き方であり、ハードワーカーとは仕事を通して成長し続けている人のことだと思います。ハードワークというと長時間労働を連想しますが、仕事時間の「量」だけではなく「質」についても、もっと議論されてしかるべきです。

 この夏、まとまった休みを取る人も多いでしょう。弊誌の最新号が働き方を見直す契機になれば幸いです。

(株式会社ダイヤモンド社 ►ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 編集長・岩佐文夫)

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◆約5人に4人が1枚以上のクレジットカードを保有◆

30代から60代の男女(N=500)を対象に、クレジットカードの保有枚数について質問したところ、「1〜2枚」(38.0%)「3〜4枚」(27.6%)「5〜9枚」(11.8%)「10枚以上」「(2.0%)と続き、8割近くの方がクレジットカードを保有していることがわかりました。

◆約8割がクレジットカードを毎月利用◆

30代から60代の男女でクレジットカードを保有している方(N=397)を対象に、クレジットカードの利用頻度について調査した結果、「ほぼ毎日」(6.3%)「週2,3回」(13.9%)「週1回(17.9%)」「月2,3回」(28.7%)「月1回」(15.9%)という結果となり、週に1回以上クレジットカードを利用する方が4割近くを占め、実に8割近くの方が毎月クレジットカードを利用していることがわかりました。

◆カードブランドは「VISA」の利用率が高い◆

30代から60代の男女でクレジットカードを保有且つ月に1回以上利用されている方(N=328)を対象に、主に利用しているカードブランドに関する調査したところ、「VISA」(75%)「JCB」(47.6%)「Master」(30.5%)と続き、「VISA」ブランドの利用率の高さがわかりました。

◆クレジットカードを利用する理由は「ポイントやマイルを貯めたいから」が圧倒的◆

30代から60代の男女でクレジットカードを保有且つ月に1回以上利用されている方(N=328)を対象に、クレジットカードを使う理由について調査したところ、「ポイント・マイルがたまるから」(70.7%)「支払いが楽だから」(50.9%)「現金をたくさん持ち歩く必要がないから」(37.5%)「会計がスムーズだから」(35.1%)「予定外のものや欲しいものに出会ったその場で買えるから」(25.6%)と並び、クレジットカードを利用する際に付与されるポイントや航空会社のマイレージを意識したうえで利用していることがわかりました。

◆クレジットカードを利用しているシーンは「オンラインショッピング」が突出◆

30代から60代の男女でクレジットカードを保有且つ月に1回以上利用されている方(N=328)を対象に、どのようなシーンでクレジットカードを利用しているか調査したところ、「オンラインショッピング」(74.2%)「公共料金・携帯電話料金」(49.7%)「食料品・スーパー」(36.6%)「ガソリンスタンド」(36.6%)「衣服・靴・化粧品」(34.1%)「家電」(31.7%)「旅行・宿泊・ホテル」(28.4%)「飲食店」(23.2%)と続きました。

◆クレジットカードは「金額に関係なく利用する」との回答が半数近くを占める◆

30代から60代の男女でクレジットカードを保有且つ月に1回以上利用されている方(N=328)を対象に、クレジットカードを利用したいと思う金額について調査したところ、「金額は関係なく、いくらでもあっても使う」(46.6%)「1000円以上」(13.7%)「5000円以上」(19.8%)という結果がわかりました。また10000円未満での決済においてクレジットカードを使いたいという意向をもった方が、約8割を占めました。

◆クレジットカード決済が最も使えたらいいのにと思うシーンは「観光地」◆

30代から60代の男女でクレジットカードを保有且つ月に1回以上利用されている方(N=328)を対象に、クレジットカード決済が使えたらいいのにと思う業種やシーンについて質問したところ、「観光地」(39.9%)「ホテル・温泉・旅館」(36.3%)「車検や車の修理」(36.0%)「家賃」(32.9%)「商店街での買い物」(30.5%)「タクシー」(26.8%)「フェスやフリーマーケットなどの屋外イベント」(24.1%)「キャンプやダイビングなどの屋外レジャー・ツアー」(14.0%)「その他」(6.4%)と続きました。特に「観光地」においてクレジットカード利用を期待する声が大きいことがわかりました。

◆クレジットカード決済に対応したお店を6割近くの方が意識下で選択している◆

30代から60代の男女でクレジットカードを保有且つ月に1回以上利用されている方(N=328)を対象に、クレジットカードが使えるお店と使えないお店のどちらを選びますかという質問に対し、6割近くの方が「クレジットカード利用可能なお店」を選んでおり、クレジットカード決済に対応したお店が生活者の選択基準の要素の一つであることが調査結果からわかりました。

調査概要

調査期間 2014年6月5日 調査方法 インターネット調査 調査対象 国内・30代から60代の男女500人 (男性51%:女性49%)(未婚46.4% 既婚53.6%)

コイニー、「クレジットカードに関する利用状況調査2014」より抜粋 

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売却、買い戻し、リート設立の選択

不動産市場の回復は、地価やオフィス賃料等の複数の指標で顕著になってきています。それに先んじて不動産取引市場では2012年から取引量が増え始め、都市未来総合研究所によれば2013年度は前回ピークの2007年度に迫る取引量となりました。

最大の買い手は、投資口の価格上昇にともない資金調達力が高まり物件取得に積極的な上場リート(不動産投資信託)ですが、その他にも大手不動産会社、私募ファンドなどが買い手となっています。また、実物不動産の価格も相当程度上昇してきている中で、保有不動産を売却し財務を改善する企業が売り手として目立っています。

パナソニック、ソニー、キリンホールディングス、ブラザー工業など大手企業によるビル売却が相次いだ背景には、不動産価格の上昇があると思われます。これらの買い手には上場リート、私募ファンドが含まれており、自社使用の不動産が投資家の運用資産に移行するケースも少なくありません。

一方で、企業による取得も活発化しています。「事業法人・公共等・その他」の2013年度における取得額は上場リートに次いで大きい額でした(図表)。 20140627_03

取得のパターンとして興味をひくのは、かつて証券化した物件の買戻し(NECによる玉川ルネサンスシティ、東武鉄道による東武池袋本店・船橋店の取得)や共有物件の残り持分の取得(高島屋によるタイムズスクエアビル、立川TMビルの取得)で、いずれも企業が自社グループで集客施設として使用している物件を完全に自社あるいはグループ会社での所有にする事例です。

買い手である企業側の目的としては、まずは賃料負担の削減が挙げられますが、東武池袋本店および船橋店の取得では、買い手の東武鉄道は「建物を一括所有することで店内改装を機動的に実施するため」としています。東武グループおよび高島屋による百貨店施設取得については、賃料負担の削減に加えて、集客施設の運営者による一括所有となることから、運営の円滑化が期待できる点も買い手側のメリットとなります。

また、2013年度の上場企業による不動産売却額でトップだったのはイオンモールで、イオンリート投資法人に商業施設6物件646億円を譲渡しました。あわせて非上場のイオンリテールからも768億円の資産が同投資法人に譲渡されています。

主な売り手のひとつであるイオンモールは、成長資金の獲得を取引理由に挙げています。同種の取引として、2013年7月に星野リゾート投資法人が上場する際には150億円の宿泊施設が星野リゾートから譲渡されています。

これらは集客施設の運営者がスポンサーとなって上場リートを設立し、資産譲渡により資金調達した事例になります。財務内容を向上させつつ譲渡した資産自体は引き続き本業を担うというもので、かつての不動産証券化と資産譲渡による財務改善という点で共通の面を持ちながら、資産運用業に参入している点でより積極的な企業の戦略がうかがえます。

この他にも佐川急便が不動産管理やファンド組成で実績のあるザイマックスと共同で私募リートの組成を準備しており、本業で使用する施設を譲渡し非上場の手法で投資家から資金を集める事例として今後登場すると思われます。

不動産運用業界や金融業界から参入者が出始めているヘルスケアリートが新たな領域として期待されていますが、施設運営会社によるリート設立もこの流れに沿えば近い将来あり得るのではないでしょうか。

本業で使用するあるいは就労の場となる資産をどのような所有形態とし、企業価値を高めるのか、上場リート市場、実物不動産取引市場の双方が活況で借入も比較的しやすい環境下で資産運用業への展開の事例も増えつつあり、企業の選択はかつてより広がってきています。

(2014年6月25日「研究員の眼」より転載)

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上司とのコミニケーションにあてる時間は1週間に6時間がベストらしい 上司との距離感というのは、きっとすべての組織人にとって永遠の課題だろう。  素晴らしいと思える人を上司に持てた時は、もちろんなるべく多くの時間を上司とのコミュニケーションにあてて、そのノウハウを得たいと思うだろう。  だけど、あまりにこちらから近くに寄り過ぎると、上司に取り行っているとか、上ばかり見ているとか、◯◯さんの腰巾着とか言われかねない。  また、仕事はほどほどで、自分のプライベートにまでずかずかと踏み込んできて、お酒のお供やゴルフを強要する上司なら、どうやってその災厄を免れるかということでいつも頭を悩ませてしまう。    今朝Mashableに面白い研究結果が出ていた。 「Study: Spend Extra Time With Your Boss to Feel More Inspired and Engaged」(上司との時間を増やすほど、インスパイアされ、会社への参画意識が高まる)  この記事で紹介されている最新の研究結果*1によれば、

上司との最適なコミュニケーション時間は、週6時間である    コミュニケーションの時間には、直接話す、あるいはemailのやりとりなどすべてのコミュニケーションに使われた時間が含まれている。

 週6時間の人は週1時間しか上司とコミュニケーションをとらない人に比べて、 (1)よりインスパイアされている人が29%、 (2)より参画意識が高い人が30%、 (3)よりイノベーティブな(革新的なアイディアを出す)人が15%、 多かった  この研究の面白いところは、上司とのコミュニケーションの時間が長ければ長いほど良いと言うわけでもなく、週6時間以上をコミュニケーションにつかうひとたちは、(1)も(2)も少なくなっていた。ただし、(3)だけは11時間~15時間の間と20時間以上の人たちにもっとも多い結果となっている。 (3)については、上級管理職でベストな時間は7時間から8時間、中管理職では9時間から10時間になっていた。    どうやらこの結果を見る限り、イノベーティブなことが必要な職場では、放任よりも上司との密なコミュニケーションが良い結果をもたらしそうである。  ただし、イノベーションがさほど重要視されない職場においては、週6時間程度のコミュニケーションがもっともその職場での昇進にもつながりそうだ。

 またいっぽう、この話を逆に考えると、部下のパーフォーマンスを最大に引き出そうとすれば、普通の場合は週6時間程度のコミュニケーションが必要となることになる。  部下が5人いれば、部下とのコミュニケーションだけで、6時間x5人=30時間が費やされる。10人もいれば、60時間で、8時間労働を5日(40時間)を基準労働時間とすると、基準労働時間の1.5倍の時間が必要となることになる。  あわせて、何かイノベーションが必要な状況になれば、さらに多くの時間を費やさなければならない。

 そう考えれば、管理職が大変でないはずがない。

 あなたは上司と1周間にどれほどの時間をコミュニケーションにあてているだろうか?  あるいは、あなたはそれぞれの部下と毎週どれほどの時間をコミュニケーションにあてているだろうか?

*1:32,410人のアメリカ人、カナダ人の調査にもとづく。Leadership IQという会社の調査

(2014年6月24日「ICHIROYAのブログ」より転載)

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海外からのネット配信も消費税

政府は26日、消費税法を改正し、海外から日本の消費者にインターネットで配信される電子書籍や音楽などに消費税を課す方針を決めた。

画像 国境を超えた電子配信取引の現状【拡大】  現在は非課税だが、急拡大が続くネット配信市場で国内企業と税制面の扱いを同じにして、対等な競争条件を整えるのが狙い。与党が年末にまとめる2015年度の税制改正大綱に盛り込み、15年度中の課税開始を目指す。

 政府税制調査会(首相の諮問機関)が26日の会合で、海外からのネット配信に消費税を課すための制度案を大筋で了承。27日の総会で正式に決める。

 消費税は税関を通って輸入されたモノには課税されるが、ネット配信は税関を通らない「国外取引」とみなされ、消費税が課されていない。

 このため、海外にサーバーを置く米アマゾン・コムなどからの日本向け配信は非課税となっており、消費税分だけ商品価格に差が出ることから、日本の事業者が公平な制度の創設を強く求めていた。

 新たな制度は、消費税の課税基準を現在の「配信企業の所在地」から「配信を受ける消費地」に変更。日本向けに映像などを配信する海外企業に税務署への申告を義務付ける。

 税の取りはぐれを防ぐため、海外当局に税の徴収を要請する「徴収共助」という枠組みも活用する。

 海外からのネット配信への課税について、菅義偉官房長官は26日の会見で「今後の税制改正プロセスの中で具体的な制度設計が行われていく」と述べた。

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国際戦略総合特別区域計画書(2014年5月19日変更認定)

【主な変更点】

◎規制の特例措置(国際戦略総合特別区域外国企業支店等開設促進事業)の追加<計画書18~23ページ> 外国企業が地域協議会の民間事業者が提供する施設を事業所として使用する場合、「企業内転勤」の在留資格に係る他の要件を満たすこと等を前提に、支店等開設準備を行う当該外国企業の従業員に対し「企業内転勤」の在留資格が付与されることとなりました。

◎規制の特例措置(高度人材外国人受入促進事業)の追加 <計画書24~26ページ> 総合特別区域法に基づき東京都が指定する統括事業・研究開発事業等を行う企業に就労する外国人について、高度人材ポイント制におけるポイントの特別加算の対象となりました。

◎国際戦略総合特区設備等投資促進税制の追加 <計画書34~37ページ> 特区内において国際会議等に参加する者の利用に供する大規模な集会施設、宿泊施設を整備し、運営する東京都が指定した企業に対して、当該事業の用に供する施設等を新たに取得し、又は製作し、若しくは建設した場合に租税特別措置法で定めるところにより、課税の特例が適用されることとなりました。

⇒計画書(PDF形式8.61MB)

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world cup 2014 経済効果

香港(CNNMoney) ブラジルで来月中旬開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)本大会で、米格付け企業ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日までに、同大会がブラジル経済に与える浮揚効果はほとんど期待出来ないとの見方を示した。

同国政府は新スタジアム建設、交通機関や空港整備などW杯関連事業に推定115億米ドル(約1兆1730億円)を投入。W杯は景気拡大をもたらし、都市基盤も改善されるなどとして巨額支出を正当化してきた。 ムーディーズは、政府支出のW杯事業費、大会期間の長さや2兆米ドル相当のブラジルの経済規模なども参考材料にしてW杯による経済浮揚効果を計算し、大して見込めないと結論付けた。

ブラジル経済は近年停滞しており、労働者の生産性の低さ、インフラ基盤改善の遅れや根強い保護主義など長年の課題が改めて問題視されている。W杯開催で地方経済や航空業界への悪影響も指摘されている。

ブラジル国内では、社会福祉や教育、医療行政などが無視される形でW杯関連事業に巨費が投じられることに抗議するデモが全国規模で昨年から多発。W杯期間中に起きることも否定出来ない。ムーディーズは、W杯開催はブラジルの国威発揚につながるかもしれないが、大会中にデモが再発したらこの効果も消滅すると指摘した。

結局、W杯ブラジル大会で最も得するのは公式スポンサーなどの大企業となる可能性があるとしている。 ブラジルのリオデジャネイロ市は2016年に夏季五輪を主催する。関連工事の遅延や汚職などが早くも露呈しているが、W杯と同様、五輪は同市や国に大きな恩恵をもたらすとの大義名分論は消えていない。

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